頑固親父×2との戦い

結婚を考えて居た彼との交際当時、私の両親とは夕飯を一緒に食べたり、休みの日には実家に顔を出したりとマメなのに、その彼は実のお父さんと喧嘩しており
「俺の親父には会わなくていい」
が彼の口癖で、兄妹には会えてもお父さんには頑なに会わせてくれませんでした。
お母さんは早くに他界され、親はお父さんだけなのです。
なのに会わずに結婚なんて無理だと思い、彼には内緒で兄妹に連絡を取り、何とか仲直り出来ないものかと相談しました。
兄妹達も、そこまで頑なに拒否して、5分ほどしか離れていない所に住んでいるのに、1年ほどではありますが全く会おうとしない彼と、そんな彼を「放っておけ!あんな親不孝者!」と拒否するお父さんの仲を取り持ちたいときっかけを探していたらしく、これがチャンスだと思い、強制顔合わせご飯会を開くことを決めました。
彼には私が兄妹でご飯と伝え、お父さんには兄妹達が、子供達とその家族とワイワイご飯を…と伝え、現場で顔を合わせる作戦でした。

当日、兄妹から「お父さんを逃げられないように1番奥の席に押し込んだから、もう来ても大丈夫!」との連絡を受け、さも今が待ち合わせ時間かのごとくお店に彼を連れて行きました。
彼のお父さんとの初対面と、兄妹の家族とも初対面なのと、喧嘩してる2人を会わせる…と言うトリプルの緊張で、私の頭はどうにかなりそうでした。

いざ扉で仕切られた個室に案内され、お互いがお互いの存在を認識した瞬間…
お父さんは「やられた!」と言うような表情で、向かいに座る長男を睨みつけ、彼は「はぁ?!」と言うような表情で私を睨みつけました。
店員さんの「飲み物はお決まりですか?」の間抜けな質問に一瞬凍った場が和み「お前は謝ることと、何か報告があるんじゃない?突っ立ってないで男見せろや」の兄の言葉に押され、ようやく彼が「今まで意地を張ってすみませんでした。そして隣にいるのが彼女です。結婚を考えているので紹介したくて…」と口を開いたのです。
腕を組んで眉間にシワを寄せていたお父さんは暫しの沈黙の後「今後、時間を掛けて誠意を見せろ。家庭を持つつもりなら責任感をもて。彼女は何にも悪くないから、俺の隣におーいで!」と、軽いお説教と、遠回しな許可をいただけました。
私はその日、お父さんの隣でひたすら楽しくお話ししながら食事をし、彼は離れたところで兄妹に「世話が焼ける」と怒られていました。
ですがそれからは彼の実家にも顔を出すようになり、悪態はつき合うものの、それなりに仲良くなりました。

そしてそれから半年後…
来年辺りに結婚しようと考えて、身の回りの準備などをしていた頃、私の妊娠が発覚。
彼は喜んでくれたのですが、私の脳内は完全にパニックです。
なぜなら私の父親は、結婚には賛成してくれてはいるものの、授かり婚なんで言語道断!順序が大事な昔気質な人。
先に結婚した姉は順序を守っており
「授かり婚なんて今時どこにでもいるじゃない」
なんて言葉が通用する父親ではないのです。
ですが腹を決めなきゃと、妊娠発覚から3日で、彼と2人で土下座をしに行きました。もちろん殴られる覚悟で…
改まって来た私たちを見て父親は
「ついに本格的に日取りを決めたか」
ぐらいに思いながら笑顔で迎えてくれたのですが、内容は
「子供ができました。順番が違ってしまいましたが、なるべく早めに籍だけでも入れさせてください」

それはそれは、ながーい沈黙が続きました。私も彼も頭を上げることが出来ず、ひたすら土下座。母親は既に連絡済みで了解を得ていたので見守るばかり…
「俺は順番を守らない奴が1番嫌いだ」
とようやく一言喋ったかと思ったら、おもむろに席を立ち…
そのまま部屋を出て行ってしまったのです。
困り果てて居たのですが、それから数日後…父親は自分のサインは記入済みの婚姻届をテーブルに置き「今月中旬には出て行けよ」と言って、ぶっきらぼうに許可してくれたのです。
聞くと、母親が毎晩父親を説得し、持病のために子供ができないと言われていた私が妊娠できたのは喜ばしいことじゃないかと吹き込んでいたらしいです。

こうして、頑固親父2人を何とか説得し、今現在の結婚生活に至るのです。

が、彼のお父さんは「俺は妊娠の話は聞いてないぞ!」と、都合が合わず私の実家に行った日の夜に報告を受けたことが気に入らなかったようで、またしばらく駄々を捏ねてしまい、兄妹と力合わせて説き伏せたのもいい思い出です。